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最低賃金を引き上げるくらいなら低額ベーシックインカムをやった方が良い

毎年のように引き上げられている最低賃金が、今年度は消費増税を考慮して10円台の引き上げが検討されているらしい。
最低賃金10円台引き上げ、経済界に要請へ 厚労省  :日本経済新聞

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記事には『最低賃金を上げればパートなど低賃金の勤労者も所得が増え、より幅広い層で消費意欲が高まる』と書かれているが、果たして本当にその通りなのだろうか。少し考えてみたい。

現在の全国の加重平均した最低賃金は749円なので、ここではわかりやすく750円。そして最低賃金を10円引き上げるものと仮定して話を進めようと思う。

アルバイト100人を最低賃金750円で雇用している工場の場合、工場を経営している会社が従業員に支払う人件費は1時間当たり

750円 × 100人 = 75,000円

となる。この時給が750円から760円に引き上げられたとすると、1時間当たりの人件費は

760円 × 100人 = 76,000円

……となるが、はたして企業は人件費の上昇をそのまま受け入れるだろうか?

 

最低賃金の引き上げは失業者を増加させる。

僕が経営者だったら、最低賃金が引き上げられたとしてもそれまでと同じ水準に人件費を保とうと考える。今までと同じ数のアルバイトを雇い続けた場合の人件費上昇分は1時間当たり1,000円なので、人件費を今までと同じかそれ以上抑制するためにはアルバイトを2人減らすことで解決する。

760円 × 98人 = 74,480円

上の工場で働いていた従業員のうち98人は賃金の上昇で消費意欲が高まったかもしれない。けれども、工場をやめた2人はどうなるのだろうか。めでたく正規社員になれる……とは思えない。この2人がフリーターであれば他企業で働くために求人情報を探すかもしれないが、他企業も上の工場と同様に人件費抑制のため、転職は難しいのではないだろうか。そのため場合によっては生活保護を受給せざるをえない状況になるかもしれない。

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生活保護世帯数は1994年以降上昇傾向にある。近年のグローバル化に伴って海外移転して工場が増え、国をまたいだ賃金競争に国内の労働者はさらされている。そのため単純労働者の賃金はどうしても低い水準になりがちだ。それを無理やりねじ曲げると、先に書いたとおり失業者を増やす結果になってしまい、生活保護受給者数を増加させる要因にもなりうるだろう。

極端な話、低所得者の保護をするのには消費増税とセットでベーシック・インカムのように一律で(たとえば1万円くらい)お金を配るのが手っ取り早いと僕は思う。所得水準が高ければ高いほど納税額は多くなるのだから、ベーシック・インカムにより配布される金額を納税額が上回るので、再分配後の格差は縮まる。失業者の増加は防げるし格差は縮まるしでまさに一石二鳥。僕はベーシック・インカムのほうが最低賃金の引き上げよりもよっぽど有効な手段だと思うのだけれど、安倍総理は検討してみてくれないかな?

軽減税率なんてやめて毎月3,000円の給付をすればいいと思う

予定されている消費増税まであと1年を切ってしまいましたね。
増税が気になるのは当然ですが、同時に活発に議論されている「軽減税率」も気になりますよね。新聞社もこぞって「新聞の増税はダメ」とか言ってましたし。

増税を控えて、自民・公明の両党は軽減税率の調査会議を開き、有識者の聞き取りを行っているそうです。
自公、軽減税率導入へ参院選後に中間報告 有識者に聞き取り  :日本経済新聞 http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0302X_T00C13A4PP8000/

ただ、軽減税率を導入すれば当然ですが、それなりのコストがかかることが考えられます。記事中にも書かれているようにインボイス方式は個々の品目ごとに税率を記載する必要があるので、事務的なコストが大きくなってしまいがちです。

軽減税率を導入した結果、増税分のいくらかが無駄になってしまうのは納税者として少し複雑な気もすることだと思います。だからといって、低所得者の負担を軽減する措置を全く執らなくても良いかというと、政治的に少し難しいかも知れません。

そこで僕が考えるのが、「一家族あたり毎月3,000円の給付」です。
所得に関係なく一律で平均的な家庭に対して月額3,000円の給付を行うだけのごく単純な仕組みです。

 

この単純なの給付であれば、軽減税率導入に伴う事務的コストをグッと抑えられるでしょうし何より、軽減税の逆進性をなくすことが出来るメリットがあります。

消費税とセットでよく話題に上る逆進性。所得が多くなるにつれて所得に対する税の負担割合が少なくなってしまうと言うものですが、これは軽減税率にも当てはまるそうです。
食料品等に対する軽減税率の導入問題(要約) http://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/46/takada/hajimeni.htm

低所得者よりも高額所得者の軽減税額が多くなってしまうというこの問題も、僕が考える毎月3,000円給付なら解決できます。給付額が同じなので所得に対する軽減割合は所得が高くなるにつれ減少していくからです。

 

では次に、給付する金額がなぜ3,000円なのか。その根拠をざっくりと説明します。

参考にしたのは総務省統計局のこの調査結果。
統計局ホームページ/第1章 最近の家計収支 http://www.stat.go.jp/data/kakei/family/4-1.htm
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「図1-1 家計収支状況(二人以上の世帯の家勤労者世帯)」の食料の項目は68,417円です。このうち外食は軽減税の対象にならないと考えられるので、外食への支出(PDF:43KB) – 総務省統計局の図2を参考に1突き当たりの外食費12,229円を差し引きます。

68,417円 – 12,229円 = 56,188円

軽減税の対象になる食費は大雑把に56,000円だということが分かりました。
更に新聞の購読料約4,000円をプラスすると、軽減税対象額はおよそ60,000円です。(ホントはもっと対象となる品目があるのかも知れませんが、素人の考えなので大目に見てね!)

で、現在の消費税率5%から10%に引き上げられ、増税5%分に対して軽減措置が行われたと仮定します。その際に必要な軽減税額は、軽減対象の60,000円に対して5%ですから、

60,000円 × 0.05円 = 3,000

となります。

この3,000円が僕の根拠とする数字なのです!

一家庭あたりおよそ3,000円の給付を行えば、軽減税率を導入したときと同じくらいの軽減公が見込める上に、上に書いたような軽減税の逆進性をなくすことができます。なかなか良いアイディアだと思いません?

 

 

個々まで書いてきた3,000円という金額はあくまでも一家庭の平均で、図1-1に書かれているように平均世帯人数は3.42なので、

3,000 ÷ 3.42 ≒ 877円

一人あたり877円を給付するのが妥当だと言えるでしょう。