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原発や太陽光発電でよく聞くkWとkWhの違い

今朝読んだ日経のこの記事 ↓

メガソーラー参入駆け込み 11月に原発1基分認定  :日本経済新聞

出光興産や富士電機などメガソーラー(大規模太陽光発電所)事業に参入する企業が急増している。経済産業省が認定した設備は11月の1カ月間だけで90万キロワット。発電能力ベースでは原子力発電所1基分に達した。

これを書いた記者はおそらく「11月に認定された太陽光発電の出力を合計したら90万kWになるので、原発1基分の出力100万kWと同等」だと考えて「原発1基分認定」という見出しの記事を書いたのだと思います。

が、僕はこの記事の比較方法は適切ではないように思いました。

この記事に対して、なぜ僕が適切な比較でないと思ったのか。その理由を述べる前に、まず「kW(キロワット)」と「kWh(キロワット時)」の違いを知っていただきたいので、簡単にではありますが違いを説明したいと思います。

 

「k(キロ)」と「h(時)」の意味

当たり前ですが「k(キロ)」は1000倍を意味します。ですから 1kg = 1000g になります。
h(時)は1時間の意味で hour の h です

 「W(ワット)」は1秒あたり1J(ジュール)の“仕事率”

J(ジュール)は仕事量の単位のことですが、覚える必要は無いと思います。「ふーん ( ´_ゝ`)」って漢字で流して読んでください。

で、この単位 W(ワット)は車で例えるなら「時速」といったところでしょうか。
「1時間あたりに60km進む車」の速さが「60km/h」なのと同じように、「1秒あたりに90万kJ(キロジュール)発電することのできる発電所」の出力は90万kWです。

 

「Wh(ワット時)」は1Wの仕事率で1時間続けたときの“仕事量”

ここでも車を例にしましょう。

「時速60kmの車が3時間に進むことのできる道のり」は

60km/h × 3h = 180km

となり、180km ですね。単位に注目すると「km/h」に「h」をかけることで「km」になることがわかります。

同様に「出力90万kWの発電所が3時間フル稼働したときの発電量」は

90万kW × 3h = 270万kWh

です。単位「kw」に「h」をかけるので単位がくっついて「kWh」になります。

 

発電能力をkW(キロワット)の単位で比較するのは間違い

ここからが僕の言いたかったことになります。

ここまでの説明でお分かりいただけたと思いますが、単位 kW は「1秒あたり発電率(仕事率)」を表します。11月に認定された太陽光発電の合計出力90万kWは原発1基分の出力とされている100万kWとほぼ同等ですが、それはあくまでも瞬間の発電率(車だと時速にあたります)に関してだけです。

重要なのは瞬間的な発電率ではなく一定期間の総発電量(車だと走行距離)ですから比較に用いる単位は「kWh(発電量)」が妥当だと言えます。なぜ総発電量で比較するのが妥当なのかというと、発電される電力には“ムラ”があるからです。

具体的に言うと、太陽光発電と原子力発電のkW(発電率)(しつこいかも知れませんが車だと時速)が同じだとしても発電時間の限られた太陽光発電は、夜間も発電可能な原発と比べると発電量(車だと走行距離)は原発のほうが多くなってしまうので、kW の単位で比較するのは不適切なのです。

……ということで kWh の単位での比較をしたいのですが、日経の記事にはそのデータが書かれていません。そこでここでは設備利用率を利用して書く発電設備の出力(kW)からおおよその平均出力を計算し比較してみましょう。
(ここでも車を思い浮かべると理解しやすいかも知れません。発電設備の出力はと車に置き換えると「最高時速」のようなものですから走行距離(発電量)の比較には不適切ですが、道路や混雑状況によって車の時速(発電率(kW))を変化を考慮した「平均時速(発電設備の平均出力)」でなら比較可能ですよね。)

 

設備利用率(%) = 発電量(kWh)÷ 出力(kW)× 時間

上の式で求められる設備利用率ですが、一般的に太陽光発電の設備利用率は12%と言われています(たぶん)。夜間や雨の日なんかは発電できないですからね、そんなものなんでしょう。

つぎに原発の設備利用率については、ググったら初めのほうにでてきた原子力発電所の設備利用率 [関西電力]を参考にします。ぱっと見で75%くらいかな? 75%にしよう!

それでは、設備利用率を加味して、原子力発電所の出力を100万kWと、11月に認定された太陽光発電の合計出力90万kWとを比較をしてみましょう。

原子力:100万kW × 0.75 = 75万kW
太陽光:90万kW × 0.12 = 10.8万kW
太陽光 ÷ 原子力 = 10.8万kW ÷ 75万kW = 0.144

これで正当な比較ができます。

それぞれの発電設備の想定平均出力は、原発75万kWに対して太陽光発電は10.8万kWなので、経済産業省が11月のひと月に認可した太陽光発電設備は原発0.144基分であることがわかります。

つまり日経の記事「11月に原発1基分認定」は明らかな誤りで、 今回のざっくりとした計算が正しければ記事の見出しは「メガソーラー参入駆け込み 11月に原発0.144基分認定」となるべきでしょう。多少のズレがあったとしても「原発1基分」は有り得ないことがお分かりいただけるでしょう。

日経の記者さんに限らず、知らなかった人には是非ともこの「kW と kWh の違い」を理解していただけたら嬉しく思います。

 

最後に……

クレームなんかが怖いので、ここで言い訳させてください。

私は全くの素人です。間違いがあっても怒らないでね☆(ゝω・)v